膠原病：血管炎の発症機序
自己抗体の一つであるANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody) 関連の血管炎症候群（ウエゲナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎など）の発症機序で興味深い報告がなされています（Nat Med 14: 1088, 2008）。
まずグラム陰性菌に分類される細菌感染によって、この細菌のFimHという抗原とわたしたちの体内の白血球（好中球）や血管の内皮細胞の構造が似ている部分があるため、細菌のFimHという抗原に対する私たちの抗体が、自分の白血球（好中球）や血管の内皮細胞を攻撃してしまう。その結果、血管炎を発症するというものです。
体内の白血球（好中球）に対する抗体がANCAと呼ばれる自己抗体で、さらにこの自己抗体が白血球（好中球）、リンパ球（Ｂ細胞）、サイトカインや補体といった炎症性因子を活性化し、炎症ドミノが進みます。
細菌感染が最初に起こっていることから、常在菌を活性化し、つねに病原菌を排除する状態を作っておくことが膠原病に代表される慢性炎症疾患では重要です。
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