膠原病悩み相談室（10）
膠原病でお悩みの多くの方から当研究所に寄せられたご相談内容の一部を掲載いたします（個人情報は抹消しております）。ご自分の今後の治療にご活用頂けたら幸いです。
Ｑ．60歳の女性です。頬の発疹と椅子からの立ちあがりがしんどくなったため病院受診しました。多発性筋炎という膠原病と診断されました。皮膚と筋肉以外にも今後症状が出るのでしょうか？
Ａ．多発性筋炎（皮膚筋炎）は膠原病の代表的な疾患です。Anti-Mi-2というヘリケースとよばれるたんぱく質に対する自己抗体ができます。筋肉（特に体幹に近い大きな筋肉）や皮膚症状（紫色の多形性皮膚委縮）の他に次のような臓器に慢性炎症が起こる可能性があります。
- 肺：間質性肺炎（約半数に合併します）
- 心臓：心筋炎、心膜炎などの合併があります
- 消化器：食道の筋肉の動きの低下で飲み込みが難しくなることがあります
- 関節症状：軽度の関節炎を伴う場合があります
- 悪性腫瘍：成人女性では卵巣がんの合併が一番多いと報告されています
卵巣がんのスクリーニング検査は毎年お受けになられることをお勧めいたします。卵巣がんは、症状もなく発見されたときには、進行していることが多いからです。乳がん、肺がん、胃癌などの合併の可能性もありますので、併せて検査だけは引き続きされてください。
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